Sonir/Blog/公開日 2026-07-28

空気録音はスマホだけでできる?最低限の機材と買い足す順番

空気録音はスマホ1台から始められます。内蔵マイクで足りる範囲と、三脚・USBマイク・校正ファイルをどの順番で足すべきか、判断の基準ごと整理します。

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Sonir. 開発者

空気録音を始めたい人からいちばん多く来る質問が「マイクは何を買えばいいですか」です。順番としては逆で、先に決まるのは買う物ではなく、何を比べたいかのほうです。

結論

スマホ1台で始められます。同じ端末で録り比べて差を見るぶんには、内蔵マイクで足ります。機材が要るのは、マイクの位置を毎回そろえたいとき、端末マイクの帯域の限界に当たったとき、絶対値を名乗りたいときの3つ。買い足す順番も、この並びのままです。

空気録音の機材を足す4段階と、それぞれで手に入るもの スマホ1台で始まり、三脚で位置が固定でき、USBマイクで帯域が伸び、校正ファイルで絶対値が出せる

なぜ内蔵マイクで足りるのか

空気録音で読み取りたいのは、たいてい相対差です。スピーカーを替えた、位置を10cm動かした、吸音材を1枚入れた。そのとき知りたいのは「前と比べてどう変わったか」であって、絶対値ではありません。

そして内蔵マイクの癖は、前の録音にも後の録音にも同じだけ乗ります。だから2本を並べた時点で、癖の大部分は打ち消し合う。これが「スマホだけで足りる」の中身です。

ただし打ち消しには条件があって、同じ端末・同じ位置・同じ音源・同じレベルで録っていること。ここが崩れると、マイクの良し悪しより先に比較そのものが壊れます。実際、録音がばらつく原因を影響の大きい順に並べるとマイクは上位に来ません。上に来るのは音源とレベルと位置です。

打ち消されないものもあります。端末のマイクが拾えていない帯域は、差を取っても戻ってきません。低域の下限と高域の上限がそれで、ここは機材を替えるしかない。もうひとつが自動ゲイン(AGC)で、静かな区間を勝手に持ち上げるので、切れないと録音レベルという前提そのものが成立しません。Sonirは録音開始時にゲインをロックして全区間一定に保ち、AGCは機種ごとに切っています。

買い足す順番

  1. 内蔵マイクで1本録って基準を作る: 距離と位置を書き留めて保存する。基準が1本もないうちは、機材を替えても良くなったかどうか判定できない。
  2. マイクを固定する物を先に買う: 三脚かクリップ。端末を空中に固定できれば、距離も高さも角度も次回そのまま再現できる。
  3. 鳴らす側の経路を決める: 端末のスピーカーで鳴らすか、ネットワーク対応の再生機器へリファレンス音源を飛ばすか。自分のシステムを録りたいなら後者を選ぶ。
  4. 帯域の限界に当たったらUSBマイクを足す: 低域や高域が頭打ちになったときが替えどき。UAC 1.0 / 2.0対応なら挿して選ぶだけで使える。
  5. 絶対値が要るときだけ校正ファイルを入れる: dB SPLや周波数特性を絶対精度で語るときのみ。相対比較だけなら最後まで不要。

ちなみに2番目を1万円のマイクより先に置いているのは、値段に対して効きがいちばん大きいからです。手持ちで録ると距離も高さも角度も毎回変わり、そのばらつきはマイクを替えても消えません。三脚は数千円で、しかも一度買えば以後ずっと効きます。

USBマイクに替えると何が変わるか

変わるのは主に帯域の端と、ノイズの床です。測定用マイクは低域の下限も高域の上限も端末マイクより広く、そこが頭打ちにならなくなる。校正ファイルを併せて読み込めば、周波数別の補正カーブが乗って絶対値も名乗れるようになります。

一方で、測定用マイクは自己ノイズを持ちます。静かな部屋で低域が持ち上がって見えたとき、それが部屋の音ではなくマイク自身の床だった、ということが起こる。外部マイクに替えたほうが有利なのは事実ですが、替えた瞬間に何もかも正しくなるわけではありません。

よくある質問

空気録音は内蔵マイクだけでできますか?

できます。同じ端末で録り比べて相対的な差を見るぶんには内蔵マイクで足ります。マイクの癖は前の録音にも後の録音にも同じだけ乗るので、2本を並べた時点で大部分が打ち消し合うためです。絶対的な音圧や周波数特性を名乗るときだけ、校正ファイル付きの外部マイクが必要になります。

最初に買うべき機材は何ですか?

マイクではなく三脚かクリップです。手持ちで録ると距離も高さも角度も毎回変わり、そのばらつきはマイクを高いものに替えても消えません。位置を固定できて初めて、機材を替えた差が読める状態になります。

USBマイクはスマホに直接つながりますか?

UAC 1.0 / 2.0対応のUSBマイクならiPhone/iPad/Androidとも接続して録音できます。端子に合う変換が要ることと、消費電力の大きい機器はセルフパワーのハブが必要になる場合があります。Sonirは48kHz固定ではなく入力デバイスのネイティブレートに追従するので、96/192kHz出力のマイクもそのレートのまま扱えます。

Bluetoothマイクでも空気録音できますか?

勧めません。Bluetoothの音声入力は通話用の経路を通るため帯域が足りず、空気録音で見たい高域がそもそも記録されません。無線で済ませたい場合でも、録音側は有線かUSBにしてください。

校正ファイルは必ず要りますか?

相対比較しかしないなら要りません。校正が要るのは、dB SPLの絶対値を出すときと、周波数特性を絶対精度で語るときの2つです。SonirはUMIK/REW/FRD形式の校正ファイルを読み込め、マイクプロファイルに紐づけて保存します。設置は真上に向ける90度が推奨です。

自分のスピーカーで鳴らすには何が要りますか?

DLNA/UPnP対応の再生機器が要ります。Sonirの録音タブは出力先を「この端末」と「ネットワーク機器」で切り替えられ、後者を選ぶとリファレンス音源をその機器へ流して録音します。左右の定位に関する指標もネットワーク機器での録音でのみ算出されます。

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