Sonir/Blog/公開日 2026-07-26

空気録音とは?何を録って何が分かるのか

空気録音とは、スピーカーから出た音を部屋の空気ごしにマイクで録ること。ライン録りとの違い、何が写り込むのか、そこから何が分かって何が分からないのかを整理します。

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nadai
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Sonir. 開発者

スピーカーの前にマイクを立てて録る。それだけの行為が、なぜ「空気録音」という専用の名前を持っているのか。答えは、録れているものが音源のコピーではないからです。

結論

空気録音とは、スピーカーから出た音を部屋の空気ごしにマイクで録ること。再生機器の出力を直接取るライン録りと違って、スピーカー・部屋・マイク・立ち位置がまるごと写り込みます。だから自分が耳で聞いている音に近いものが残る代わりに、写り込んだもののどれが効いているのかを切り分ける作業が必要になります。

何が写り込んでいるのか

信号がたどる経路を並べると分かりやすい。音源ファイル、再生機器、スピーカー、部屋の空気、マイク、記録。ライン録りが取るのは3番目までで、空気録音は6番目までを全部含みます。増えた3つ、つまりスピーカーと部屋とマイクが、空気録音の性格をほぼ決めています。

スピーカーは周波数特性の癖をそのまま乗せます。部屋はもっと厄介で、壁と床の反射が重なって特定の周波数を持ち上げたり打ち消したりする。低域では定在波が立って、マイクを10cm動かすだけで数dB変わります。マイクも無色ではなく、内蔵マイクには個体ごとの癖があります。

さらに、意図していないものも入ります。エアコンの唸り、冷蔵庫、窓の外の車。深夜と昼では暗騒音の床が10 dB以上違うこともあります。自分は3本続けて録り終えたあとに、全部にエアコンが乗っていることに気づいたことがあります。あれは録り直しでした。

何が分かって、何が分からないか

ここが空気録音を扱うときのいちばん大事な線引きなので、長めに書きます。

分かること。まず、その部屋で実際に鳴っている音の帯域バランス。スピーカー単体の性能ではなく「この部屋に置いたときにどうなるか」が録れます。低域が暴れているかどうかも出ます。そして条件を固定できていれば、機材やセッティングを替えたときの差。スピーカーの位置を10cm前に出した、吸音材を1枚入れた、といった変更の効果は素直に現れます。

分からないこと。定位と音場は落ちます。マイク1点で受けた瞬間に、左右のスピーカーが作っていた立体感は平面に潰れる。「AのスピーカーはBより音場が広い」を空気録音で判定するのは無理があります。上流の機材、つまりアンプやDACやケーブルの微小な差も、空気録音のノイズと歪みの床に埋もれてしまうことが多い。差が床より小さいなら、耳で当てにいっても実りは薄いです。絶対的な音圧(dB SPL)も、校正マイクと校正ファイルがなければ名乗れません。

つまり空気録音が得意なのは、絶対評価ではなく同条件での比較です。同じ部屋、同じ距離、同じ音源、同じレベルで録った2本を並べて、何が変わったかを読む。これが本来の使い方で、そこから外れると解釈がすぐ怪しくなります。

なぜ「空気」録音と呼ぶのか

余談ですが、この言葉は日本のオーディオ文化のなかで育ったもので、英語圏には定型の対応語がありません。room recording、acoustic capture、どれも部分的に指すだけで、そのまま置き換わる単語がない。海外に説明するときは「同じ条件で機材を録って比べる」と行為で言うしかない。電気信号のまま取るのではなく、空気を伝わった音を録る。この対比が名前になっているわけです。

録ってみる手順

最初の1本は、5つ押さえれば形になります。

  1. スピーカーとマイクの位置を決めて測る: 正面軸上、耳の高さ。距離をメジャーで測って書き留める。
  2. 鳴らす音源を1つに決める: 録り比べるつもりなら音源は固定する。曲が変われば比較にならない。
  3. AGCを切って入力ゲインを固定する: 自動ゲインは静かな部分を勝手に持ち上げる。録音中はゲインを動かさない。
  4. ピークを-6〜-12 dBFSに合わせて録る: クリップさせると波形の頭が潰れ、小さすぎると暗騒音に埋もれる。
  5. 録音スコアと周波数特性で読む: クリッピングとノイズフロアで録音の出来を、周波数特性で帯域バランスの傾きを見る。

Sonirはこの5つを前提に組んであります。録音の音源は同梱のリファレンス波形に固定してあり、ゲインはロックしてAGCは機種ごとに切る。距離や機材や部屋はプリセットで呼び戻せるので、次に録るときも同じ条件から始められます。

よくある質問

空気録音とは何ですか?

スピーカーから出た音を、部屋の空気ごしにマイクで録ることです。再生機器の出力を直接取るライン録りと違い、スピーカー・部屋・マイク・立ち位置がまるごと録音に写り込みます。自分が実際に耳で聞いている音に近いものが残るのが特徴です。

ライン録りと空気録音はどう違いますか?

ライン録りは再生機器の出力信号をそのまま取るので、スピーカーと部屋が入りません。上流の機材だけを見たいときはこちらが正確です。空気録音は部屋とスピーカーを含んだ「その部屋で鳴っている音」を記録します。目的が違うので優劣ではありません。

空気録音でスピーカーの優劣は分かりますか?

音色の傾向までです。マイク1点を通すと定位も音場も落ちるので、優劣を決めるには情報が足りません。スピーカーや部屋の違いは、周波数特性やRT60を測って重ねた差分で見るほうが確実です。

なぜ空気録音と呼ぶのですか?

信号を電気のまま取るのではなく、空気を伝わった音を録るからです。日本のオーディオ文化のなかで定着した言い方で、英語圏には定型の対応語がありません。英語では「同じ条件で機材を録って比べる」と説明的に言うことが多いです。

空気録音に高価なマイクは必要ですか?

同じ端末で録り比べる範囲なら内蔵マイクでも実用になります。相対的な差を見るぶんには十分です。周波数特性を絶対精度で語るときだけ、校正ファイルの付いた外部マイクが必要になります。

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Sonirはスマホで空気録音・音響測定・比較を完結させるアプリです。同梱のリファレンス音源を鳴らして録れば、条件ごとライブラリに残って、録音スコアと周波数特性で読めます。部屋のRT60や周波数特性の測定も同じアプリのなかで通しでできます。録音スコアも音色の比較も、測定どうしの重ね描きも無料です。

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