Sonir/Blog/公開日 2026-08-10

空気録音のメタデータは何を残す?再現できる記録の作り方

空気録音のメタデータは部屋・機材・距離・音源の4項目を残せば、後から同じ条件で録り直せる。プリセットに束ねて呼び出す設計と、記録しても戻せない条件の切り分け。

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nadai
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Sonir. 開発者

3か月前に録った空気録音と、今日録った1本を並べた。低域が2 dBほど薄い。ケーブルを替えたのが効いたのか、それともスピーカーを20cm手前に出したまま戻していないのか。距離を書き残していなかったので、もう切り分けられない。

結論

残すのは4項目。部屋・機材・距離・音源。この4つが録音に付いていれば、後日ほぼ同じ条件で録り直せる。Sonirはこの4項目を名前付きのプリセットに束ねて、録音前に1タップで呼び出せるようにしてある。

部屋・機材・距離・音源をプリセットに束ね、別の日の録音へ適用する流れ 4項目をプリセットに束ねると、日付の違う録音に同じ条件を配れる。マイクと校正だけは別系統で端末側に残る

なぜこの4項目なのか

効き方の大きい順に並べると、まず距離。マイクをスピーカーに近づけるほど部屋の反射の混じり方が変わり、低域は10cmの移動で数dB動く。次が部屋で、同じスピーカーでも定在波の乗り方が場所ごとに違う。機材はここでやっと出てくる。ケーブルやDACの差は、距離と部屋を固定して初めて見える大きさしかない。

音源は少し性質が違う。Sonirの録音は同梱の固定リファレンス波形に統一してあるので、曲差はそもそも入らない。ここで記録しているのは「どの出力先で鳴らしたか」に近く、この端末のスピーカーで鳴らしたのかネットワーク機器に飛ばしたのかを残す欄になる。

記録しても再現できないもの

4項目を完璧に残しても戻せない条件がある。ここを分かっていないと、記録が正しいのに結果が合わずに混乱する。

いちばん大きいのが暗騒音の床。エアコン、冷蔵庫、外の車。深夜と昼で10 dB以上違うことがあり、これはメタデータの欄には収まらない。次に端末側の入力処理で、自動ゲイン(AGC)が効くと録音ごとにゲインがばらける。録音ピークは-6〜-12 dBFSに収める前提なので、ここが動くと周波数バランスの比較そのものが成立しなくなる。

対処は記録ではなく検算になる。録音スコアのクリッピングとノイズフロアを前回と見比べて、近い数字が出ているかを確認する。数字が離れていたら、メタデータが同じでも別条件の録音だと判断していい。正直、ここを毎回見る習慣が付くまでに私はしばらくかかった。同じプリセットを当てた安心感で、床が20 dB上がった録音を平気で比較対象に入れていた。

手順

  1. 部屋を作る。名前と場所メモだけでいい。寸法は空のまま作れる
  2. 機材を登録する。スピーカー・プリアンプ・パワーアンプ・プリメイン・DAC・ケーブルの種別で1点ずつ。1録音に複数点ひも付く
  3. 距離を測る。スピーカー前面からマイクまでをcmで入れる
  4. 現在の選択を保存する。名前は「リビング / LS50」のように部屋と主役の機材で
  5. 次回はプリセットを適用してから録る

プリセットの粒度をどう決めるか

部屋×主役の機材で1本、が扱いやすい。「リビング / LS50」「書斎 / KH80」のように作っておくと、機材を入れ替えた検証でも部屋側は迷わない。

悩むのは距離違いの扱い。50cmと200cmを別プリセットに分けると数が増えるが、適用したあと距離だけ直す運用にすると、直し忘れが必ず起きる。余談だが、私は分ける側に倒した。プリセットが12本まで増えて一覧が長くなったのは、正直まだ気に入っていない。

よくある質問

空気録音で最低限どのメタデータを残せばいいですか?

部屋・機材・距離・音源の4項目です。この4つがそろっていれば、後日ほぼ同じ条件で録り直して比較できます。逆にどれか1つでも欠けると、2本の差が機材由来なのか設置由来なのかを切り分けられなくなります。

部屋には寸法を入れないと使えませんか?

使えます。名前と場所メモだけの部屋を作って録音にひも付けられます。寸法は後からでも足せるので、まず場所ラベルとして先に作るのが実用的です。

プリセットを消すと、そこに登録した機材や部屋も消えますか?

消えません。プリセットは機材と部屋のマスタを参照しているだけなので、プリセットを消しても機材と部屋は残ります。逆に機材や部屋を消した場合は、それを参照していたプリセットからその項目だけが外れます。

メタデータをそろえたのに録音の印象が変わるのはなぜですか?

メタデータで固定できない条件が動いています。代表は暗騒音の床で、深夜と昼で10 dB以上変わることがあります。録音スコアのノイズフロアとクリッピングを前回と見比べて、記録できない側がずれていないかを検算してください。

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