Sonir/Blog/公開日 2026-07-30

空気録音のマイク選び:内蔵とUSBはどこがどれだけ違う?

空気録音のマイク選びで内蔵とUSBの差が出るのは、帯域の端・ノイズの床・自動ゲイン・左右の定位の4か所です。校正ファイルを入れて初めて通る機能まで整理します。

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Sonir. 開発者

内蔵マイクで録ると、Sonirの総合スコアは60点で頭打ちになります。採点が辛いのではなく、内蔵マイクで言い切れる範囲がそこまでだからです。

結論

中域の相対差を同じ端末で追うだけなら、内蔵マイクとUSBマイクはほとんど変わりません。差が出るのは4か所:帯域の端、ノイズの床、自動ゲインの残り、左右の定位。替える価値が出るのは、端末マイクの帯域に頭打ちを感じたときと、絶対値か自動PEQが要るときの2つです。

マイクの状態で言い切れる範囲が変わる。内蔵・未校正USB・校正済みUSBの3段 Sonirは測定の信頼度を3段で持ち、総合スコアの上限を60 / 85 / 100で切っている

どこに差が出るか

見るもの内蔵マイクUSBマイク(未校正)USBマイク(校正済み)
中域の相対差読める読める読める
低域の下限・高域の上限端末の限界で頭打ちマイクの実力まで伸びるマイクの実力まで伸びる
ノイズの床高い低い(自己ノイズは残る)低い(自己ノイズは残る)
左右の定位筐体の回折で頭打ち読める読める
dB SPL・絶対的な周波数特性出せない傾向まで出せる
自動PEQ使えない使えない使える
総合スコアの上限6085100

表の上3行が「マイクを替えると変わるもの」、下3行が「校正ファイルを入れて初めて通るもの」です。USBマイクに替えただけでは絶対値は名乗れません。ここを混同したまま「良いマイクを買ったから正確なはず」と考えるのが、いちばん多い勘違いです。

打ち消し合うもの、残るもの

同じ端末で2本録って並べると、マイクの癖は前の録音にも後の録音にも同じだけ乗るので、大部分が打ち消し合います。スピーカーを替えた差を見たいなら、これで足ります。

打ち消されないものが2つあります。ひとつは端末マイクが拾えていない帯域で、差を取っても戻ってきません。もうひとつが、録音のたびに変わってしまうもの。自動ゲインがその代表です。

自動ゲインは切れる。癖は残る

自動ゲイン(AGC)は、入力が小さければ持ち上げ、大きければ抑える機能です。通話には要りますが、測定には致命的で、録音レベルという前提そのものを壊します。静かな区間だけ床が持ち上がるので、ノイズフロアもRT60も信用できなくなる。

Sonirは録音開始時にゲインをロックして全区間一定に保ちます。Androidでは信号処理を通さない計測用の入力を一律で要求し、それが効かない機種向けに録音開始直後にゲイン制御を明示的に切る二段構え。当初は「対応しています」と申告した端末だけに絞っていたのですが、対応していないと答えるのに実際は要求どおり動く端末が出てきたので、申告の判定をやめて一律要求に変えました。逆に、要求が通らずに落ちる経路のほうが静かなときの床を持ち上げていた、というのが実測で分かった顛末です。iOSは信号処理オフの計測モードで音声セッションを開きます。

それでも残るのが、内蔵マイク自体の周波数の癖とノイズの床です。手元のAndroid実機で測ると、自動ゲインを切った状態の素のノイズ床は約-77 dBFSでした。測定用のUSBマイクはこれより下がりますが、ゼロにはなりません。測定用マイクにも自己ノイズの床があり、静かな部屋で低域が持ち上がって見えたときに、それが部屋の音ではなくマイク自身の床だった、ということが起こります。

左右の定位は内蔵で頭打ちになる

端末の筐体で音が回り込むため、内蔵マイクでは左右の相関や位相の指標が頭打ちになります。定位を数値で見たいなら外部マイクが要る、というのはここが理由です。

差し替えるときの手順

  1. 内蔵マイクで基準を1本録る: 三脚で位置を固定し、ピークが-6〜-12 dBFSに収まるレベルで録る。
  2. 位置を動かさずにUSBマイクへ差し替える: マウントごと入れ替えて高さ・向き・距離を保つ。
  3. 同じ音源・同じレベルでもう1本録る: ここが崩れると、以降の比較は全部無意味になる。
  4. 周波数特性を重ねて端と床を見る: 低域の下限、高域の上限、無音区間のノイズの床の3か所。
  5. 絶対値が要るなら校正ファイルを読み込む: UMIK / REW / FRD形式の.txtをマイクプロファイルに紐づける。

ちなみに校正ファイルには入射角0度と90度の2種類が同梱されることがありますが、差が出るのは概ね3〜5 kHz以上で1〜2 dB程度です。部屋や定在波が主役の帯域ではどちらでもほぼ同じなので、Sonirは真上に向ける90度を推奨して1本だけ持たせています。

内蔵マイクで録りためた測定を半年後に開いて、当時の端末がもう手元にない。これが実際にいちばん効く失敗で、いまだにうまい答えを持っていません。マイクプロファイルに端末名は残りますが、消えた癖は再現できない。

よくある質問

空気録音のマイクは内蔵とUSBでどれだけ違いますか?

中域の相対差を同じ端末で見るぶんには、ほとんど変わりません。差が出るのは帯域の端(低域の下限と高域の上限)、ノイズの床、自動ゲインの残り、左右の定位の4か所です。Sonirは測定の信頼度で総合スコアの上限を切っていて、内蔵マイクは60、未校正の外部マイクは85、校正済みの外部マイクは100が上限になります。

内蔵マイクのままでも比較はできますか?

できます。同じ端末・同じ位置・同じ音源・同じレベルで録るかぎり、マイクの癖は両方の録音に同じだけ乗るので大部分が打ち消し合います。できないのは端末をまたぐ比較と、dB SPLや周波数特性の絶対値を名乗ることの2つです。

USBマイクに替えると何が新しくできますか?

帯域の端が端末の限界で頭打ちにならなくなり、ノイズの床が下がり、左右の定位が読めるようになります。内蔵マイクは筐体の回折で左右の指標が頭打ちになるため、定位を見るなら外部マイクが要ります。校正ファイルまで入れると、絶対値と自動PEQが通ります。

校正ファイルは必ず要りますか?

相対比較しかしないなら要りません。要るのは、dB SPLや周波数特性を絶対精度で語るときと、自動PEQを生成するときの2つです。SonirはUMIK / REW / FRD形式の.txtを読み込んでマイクプロファイルに紐づけます。設置は真上に向ける90度を推奨しています。

内蔵マイクだと自動ゲインが切れないのでは?

Sonirは切っています。Androidでは信号処理を通さない計測用の入力を一律で要求し、それが効かない機種向けに録音開始直後にゲイン制御を明示的に切る二段構えです。iOSは信号処理オフの計測モードで音声セッションを開きます。ただし自動ゲインを切っても、内蔵マイク自体の周波数の癖とノイズの床は残ります。

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Sonirはスマホで空気録音・音響測定・比較を完結させるアプリです。内蔵マイクのまま始めて、USBマイクを足したら挿して選ぶだけ。校正ファイルを読み込めばそのマイクに紐づいて保存され、測定値の信頼度も自動で上がります。録音スコアも音色の比較も、測定どうしの重ね描きも無料です。

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