「スマホでRT60を測るには、結局どう録ればいいのか」。手順そのものは短い。つまずくのはたいてい同じ一点で、そこを外さない順番に5ステップへ畳んだ。
結論
手順は5つ。測定位置を決める、入力ピークを -6〜-12 dBFSに合わせる、スイープを長めにしてSNRを稼ぐ、全帯域スイープを録ってIRにする、減衰カーブの直線性を確認してRT60を読む。値が崩れる原因のほぼ全部はステップ2、つまり録音レベルにある。
なぜこの順番なのか
先に位置とレベルを固めるのは、後段でいくら丁寧に解析しても入口が崩れていれば戻せないからだ。RT60は減衰の傾きから出す指標で、入力がクリップすると傾きが寝て値が伸びる。だからレベル合わせが事実上の本番になる。やっかいなのは、SNRを音量で稼ごうとするとそのクリップを自分で招くこと。だからSNRはスイープの長さに回す。順番を「レベル→長さ」で固定すると、測るたびに値が暴れる現象はほぼ消える。
手順
ここからが本番。Sonirのスイープ測定を例にする。
入力ピークが -6〜-12 dBFSの帯に収まる音量まで下げる。0 dBFSに当てるとRT60が壊れ、下げすぎはスイープ長で補う
- 測定位置を決める: リスニングポジションにスマホを三脚や台で固定する。手持ちは避ける。手の動きやハンドリングノイズがIRの頭に乗ると、その後の解析が崩れる。壁や机から離し、マイクを部屋の中心へ向けると初期反射の偏りが減る。
- 入力ピークを -6〜-12 dBFSに合わせる: スイープを再生しながらレベルメーターを見て、ピークがこの帯に収まる音量まで下げる。クリップはRT60を壊す最大の原因。Sonirは録音前の入力プレチェックでピークを表示するので、ここで音量を決め切る。
- SNRはスイープ長で稼ぐ: 足りないS/Nは音量ではなくスイープを長くして補う。短く大音量より、長めで適正音量。深夜にエアコンを止めるより、昼間に長いスイープで測るほうが安定することも多い。
- 全帯域スイープを録ってIRにする: 20Hz〜20kHzのスイープを再生して同時録音する。Sonirが逆フィルタを畳み込んで部屋のインパルス応答 (IR) を取り出す。
- 減衰カーブを確認してRT60を読む: SonirがIRをシュレーダー積分にかけRT60 / EDT / C50を算出する。減衰カーブがまっすぐ落ちていればOK。頭がつぶれて寝ていればクリップのサインなので、レベルを下げて録り直す。最後にオクターブ帯域別へ割り、低域だけ伸びていないかを見る。
よくある質問
RT60を測るとき録音レベルはどれくらいが目安?
録音ピークが -6〜-12 dBFSに収まる音量が目安です。クリップするとRT60が壊れるので、まずレベルを決め切ってから測ります。
スイープはどのくらいの長さにすべき?
部屋と暗騒音によります。迷ったら長めから始め、SNRが足りていれば短くしていくのが安全です。短くして値が暴れ始めたら、それが下限のサインです。
測定中はスマホを手で持っていい?
三脚や台に固定してください。手持ちだと動きやハンドリングノイズがIRの頭に乗り、RT60の傾きが乱れます。
1回測れば十分ですか?
同じ位置で2〜3回測って値が揃うか確認します。測るたびに大きくばらつくなら、クリップか位置ずれか暗騒音を疑うサインです。
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Sonirで測る
Sonirはスマホで音響測定と比較を完結させるアプリです。本記事のRT60測定も、スイープを流して録るだけでIRからRT60・EDT・C50・ウォーターフォールまで自動で算出します。基本計測は無料、帯域別の深掘りはPro。
iOS / Android、近日公開。詳しくは機能ページへ。