Sonir/Blog/公開日 2026-06-23

リスニングルームのRT60はどれくらいが良い?目安と症状

リスニングルームのRT60の目安は中域でおおむね0.3〜0.5秒。音楽・ホームシアター・録音の用途別の最適値と、長すぎ・短すぎで出る聴感上の症状を整理する。

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nadai
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Sonir. 開発者

「自分の部屋のRT60は良い値なのか」。ひとつの数字では答えにくい問いだけど、目安はあるし、外しやすいポイントもはっきりしている。

結論

リスニングルームのRT60は、中域でおおむね0.3〜0.5秒が目安。広い部屋ほど長めでも成立する。ただし「何秒が正解か」を追うより、低域だけ尾を引いていないか、帯域ごとのばらつきを見るほうが効く。

なぜ一つの数字で決まらないのか

RT60は減衰の傾きから出る時間の指標で、最適値は部屋の容積・用途・好みで動く。広い部屋は同じ秒数でも響きが豊かに感じるし、ニアフィールドで近接して聴くなら短めが扱いやすい。さらに人は中域の長さより低域の伸びに敏感で、ブロードバンドの平均が0.4秒でも、125Hzだけ0.9秒なら「ボワつく部屋」に聞こえる。だから秒数より先に、どの帯域が伸びているかを見る。

用途別の目安

中域 (500Hz〜1kHz) を基準にした、ざっくりの目安が次の表と図。部屋の容積で最適値は動くので、ピンポイントの数字より幅で捉えてほしい。

用途RT60の目安 (中域)長すぎたときの症状
録音 / ボーカルブース0.2〜0.3秒録り音に部屋の響きが乗る
ホームシアター0.3〜0.4秒セリフが不明瞭になる
リスニングルーム0.3〜0.5秒低音がボワついて尾を引く
未処理のリビング0.5〜0.8秒フラッターやブーミングが出やすい

用途別RT60の目安レンジ 用途別のRT60目安。リスニングルームは中域で0.3〜0.5秒。広い部屋は上寄り、ニアフィールド主体なら下寄りが扱いやすい

長すぎ / 短すぎの症状

数字を覚えるより、症状で当てるほうが実用的なことも多い。

長すぎる部屋 (リスニングで0.6秒超〜) は、低音がボワついて尾を引き、定位がにじむ。音量を上げると飽和したように聞こえ、細かい音が後ろの残響に埋もれる。逆に短すぎる部屋 (0.2秒前後より下) はデッドで、音がやせて空間が窮屈に感じる。機材のキャラクターが乗りにくく、無響室で聴いているような不自然さが出る。

ちょうどいい帯は、立ち下がりが素直で、低域から高域までRT60が大きく割れない状態。秒数が範囲に収まっていても、低域だけ突出していれば体感は「長すぎ」に倒れる。

帯域で見る (1値で判断しない)

ここが本題。低域は部屋の定在波で伸びやすく、中高域は家具やカーテンに吸われて短くなりがち。だから理想は、帯域をまたいでRT60がなだらかなこと。

目安として、低域 (63〜125Hz) が中域の1.2〜1.5倍を超えて伸びていたら、まず低域を疑う。SonirはISO 3382準拠のオクターブ帯域 (63 / 125 / 250 / 500 / 1k / 2k / 4k / 8k Hz) でRT60を割って見られる。ブロードバンドの1値が0.4秒に見えても、割ると低域だけ別物、というのはよくある。平均値が低域の伸びを隠すからだ。

自分の部屋をどう判断するか

  1. 中域 (500Hz〜1kHz) のブロードバンドRT60を見て、上の表のどの帯にいるか当てる。
  2. オクターブ帯域別に割って、低域だけ突出していないかを確認する。
  3. 突出していたら、まず低域 (20〜300Hz) の吸音かルームEQを検討する。ディップ (谷) はEQで埋めない。

実際にいくつか測ってみての感想だが、秒数を小数第2位まで追い込むより、帯域をそろえるほうが体感は変わる。0.45秒か0.5秒かは耳でほぼ分からないが、低域だけ1.5倍伸びているのは一発で分かる。

よくある質問

リスニングルームのRT60の理想値は?

中域 (500Hz〜1kHz) で0.3〜0.5秒が目安です。部屋が広いほど長めでも成立します。ただし絶対値を追うより、低域だけ尾を引いていないか帯域ごとのばらつきを優先して見ます。

RT60は短いほど良いのですか?

いいえ。短すぎる部屋はデッドで、音がやせて窮屈に聞こえます。0.2秒を大きく下回ると不自然です。響きは長すぎず短すぎず、帯域でそろっているのが良い状態です。

低域だけRT60が長いのはなぜ?

部屋の定在波です。低域は波長が長く吸音材が効きにくいので尾を引きます。ブロードバンドの平均値が0.4秒でも、125Hzだけ0.9秒というのはよくあります。

測ったらRT60が0.8秒でした。どうすればいい?

未処理のリビングではよくある値です。ラグ・カーテン・本棚などの吸音と、20〜300Hzの低域処理で詰めます。まず帯域別に測って、どの帯域が伸びているかを見るのが先です。

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